2019年4月7日日曜日

現在我々はオーストラリアホンダのワークショップで整備実習を行っています。

内容としては1,000(一ヶ月)、10,000km(十二ヶ月)点検に始まり、洗車、パンク修理、フロントサスペンション交換、トランスミッション交換(作業中)などをさせていただいています。ディーラー配属までにまだまだたくさん学ぶことがありますが一つ一つ確実に身に着けていきたいと思っています。


さて、こちらの写真。

右リヤ

左リヤ







CIVIC typeRの点検している時に見つけたタイヤの傷の写真です。
左右のリアタイヤに同じような傷ができていたので興味深く思い、少し考察してみました。

この傷からわかることは、

・ブレーキ時にできた傷であること
  →FF車のリアは駆動されず、傷ができるとしたらブレーキ時であろうから
・ブレーキを掛けたのは直進時で、しかもかなり強烈であったこと
  →左右均等にトレッドがえぐれるほどの傷ができていたから
・後輪はポジティブキャンバーになっているであろうこと
  →タイヤの中心よりやや外側に傷があったから
   →最も強く接地している部分に傷ができると考えられるから
・異物による傷ではないであろうこと
  →左右同じ位置に同じような深さで傷ができていたから
   (左右同時に異物を踏んでいた可能性も0ではないが・・・)


また、この写真をよく見るとトレッドがえぐれている方向と擦れたような跡が伸びている方向が逆になっています。
なんとなく2つは同じ向きに伸びる気がするけどこういった傷になるのはなんでだろう・・・?そんな疑問が浮かんだのでちょっと考えてみました。

ブレーキを掛けたときに付いた傷だとすると
①ブレーキをかける
②タイヤの接地面が車両の進行方向に踏ん張る
③接地面が地面から進行方向とは逆向き方向へ力を受ける
 →このときに地面と擦れると跡がタイヤの回転方向へ伸びる
 →踏ん張ろうと思っても溝があると力に負けてに溝へ向かって崩れる

こんなところでしょうか?
結局どちらも同じ力によって生じたものであろうことがわかりました。



プロの整備士には点検を通して見つけたほんの些細な変化、異常でもそこから多くの情報を読み取り、車になにが起きているのかを推測する力が求められていると思います。
今回の事象で言えば
・トレッドに傷
 →急がつく運転がされている可能性(急発進、急ブレーキ、急ハンドル)
  →ブレーキパッド・タイヤの減りが通常に比べて大きい可能性
  →エンジンオイルの劣化も通常より早まっている可能性
  →サスペンションが酷使されている可能性
  
こういった推測力が現場での作業効率、確実性をアップさせると思います。
今の自分ではまだこんなものですが、これから更に経験を積んで少ない情報からより多くの情報を得る力をつけていきたいと思いました。


実際に走っている車を点検することはとても勉強になります。

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